未来予報

おすすめの映画や自然、猫について綴っていきたいと思います。

映画一日一観

『マンハッタン』(1979年 アメリカ合衆国)

ウディ・アレンを好きな男はモテない君と呼ばれることがある。アレンはモテる。背も低い、頭も薄い、顔もそんなに良くないのにモテる。アレンには知性と教養がある。だから同じように背も低い、頭も薄い、顔もハンサムではない男にとって希望になるのだ。知…

『ダウン・バイ・ロー』(1986年 西ドイツ アメリカ合衆国)

ジャームッシュは私の最も好きな監督である。もしこれからジャームッシュ作品を観るのであれば本作から入るととてもわかりやすいと思う。コメディー要素が強いと言う理由もあるがとにかくストーリーがわかりやすいのだ。ネタバレになるが三人の男が牢獄で出…

『フルメタル・ジャケット』(1987年 イギリス アメリカ合衆国)

キューブリックの功績はいくつもあるが、最大の功績は後世の映画作家たちに“誰も作っていない映画、誰も模倣できない映画”作りをその生き方で示したことだ。世界の映画作家は星の数ほどいるが、その影響度をたどっていくとどこかの監督に行き着く。でもキュ…

『太陽の下で 真実の北朝鮮』(2015年 チェコ・ロシア・ドイツ・ラトビア・北朝鮮合作)

私は二十代後半にある女性に恋をした。彼女は在日の人だった。とても美しい人で気遣いも素晴らしかった。商社に勤めていた。英語、フランス語も堪能で日本語、ハングルと合わせる4ヶ国語をしゃべることができた。私は何とか彼女と付き合いたくてアピールし…

『桜桃の味』(1997年 イラン)

古今東西、どの時代にも自殺願望の人はいるものだ。誰しも過去に於いて一度や二度は死にたいと思った経験があると思う。でも実際にそのような行為は絶対に止めるべきだ。なぜダメなのか、と問われても私自身若輩者なのでうまくアドバイスできない。でもやめ…

『王様のためのホログラム』(2016年 アメリカ合衆国)

トム・ハンクスは『フィラデルフィア』が最高傑作で次作の『フォレスト・ガンプ/一期一会』から低迷していったような気がする。しかし昨年クリント・イーストウッド監督の『ハドソン川の奇跡』で復活かと期待したが精彩を欠いていた。本作もかつてのハンクス…

『たかが世界の終わり』(2016年 カナダ・フランス)

グサビエ・ドラン監督の凄まじさを改めて知った作品だ。カンヌでグランプリを獲得するのも頷ける。強烈なインパクトを放ってきた。この映画に出てくる人たちはみんな幸せではない。誰かにすがりたい、助けてほしい。でも誰の心にも届かない。届きそうになっ…

『羅生門』(1950年 日本)

冒頭の雨と巨大な門ですでに人心を掌握してしまう。今観ても圧倒されるのだから公開当時の人々の捉え方はどんなだったか想像に絶する。物語は平安時代。 人の記憶や証言は当てにならないことをテーマにしている。三者三様の証言がまったく異なる。今でもこの…

『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』(スペイン 2014年)

久しぶりのスペイン映画だ。私にとってスペインは真に憧れの国だ。明るい太陽、肥沃な大地、そして何より情熱的な国民性にひかれる。ヨーロッパにおけるスペインは田舎っぺの国だと笑われている。経済的にも恵まれていない。よく国が持っているものだ。借金…

『青春の殺人者』(1976年 日本)

この映画を初めて観たのはかれこれ三十年前になる。名画座だったと思う。強烈なインパクトを残した。水谷豊にだ。凄かった(今じゃインテリ崩れの刑事をやっているが水谷豊は凄かった。同世代の萩原健一や松田優作を片っ端から食っている)この映画の監督も…

『野いちご』(1957年 スウェーデン)

スウェーデンの巨匠、イングマール・ベルイマンの代表作である。誰でも老いは来る。人は老いると過去を思い出し懐かしむのだろうか、それとも未来に夢や希望を見出して生きていくのだろうか。もちろん後者であればそれは素晴らしいエネルギーの持ち主だろう…

『エリゼのために』(2016年 ルーマニア)

カンヌはクリスティアン・ムンジウ監督の時代に入ったと言っても良い。『エリゼのために』(2016年 ルーマニア)劇中の雰囲気はずっと重い、暗い、キツイ。それはルーマニアの希望のない国家を表現しているとしか受け止められなかった。本作も然り。父親は娘…

『ロゼッタ』(1999年 ベルギー)

これほど絶望的になる映画はないのでは、と思ってしまうほどキツい映画だった。ヨーロッパは階級社会である。これは中世からずっと続いており、その階級社会から逃れようとアメリカに渡った歴史がある。ヨーロッパにいてはいつまでも豊かになれないし、幸せ…

『自転車泥棒』(1948年 イタリア)

戦後、間もないイタリア、ローマで撮影されている。街並みもまだ復興には程遠い。市民は混乱と貧困で喘いでいる。デ・シーカ監督は敢えて俳優を使わず素人に演じてもらい、ドキュメンタリー風に見せている。まったく仕事がなく将来が不安で仕方ない。職安に…

『マッチポイント』(2005年 イギリス)

人生は本当にわからない。一瞬先は闇、あるいはチャンスの光は突然空から降ってくる。それをテニスゲームとして表している。アレンの作品はいつも人生を考えさせる。うまく進んでいた人生も際どく進んでいた人生もひょっとしたらたった少しのタイミングだけ…

『ジャッカルの日々』(1973年 イギリス フランス)

とても21世紀とは思えないような暗殺事件があった。あのような手法で行われたことで世界中の人々も驚愕している。近年、映画の暗殺手法はハイテクな装備で行われている。例えば空中のドローンを使って狙いを定め遠く離れ何千キロも離れたた場所で引き金を…

『浮き雲』(1996年 フィンランド)

アキ・カウリスマキ監督は小津安二郎に影響を受けたという。作風を観れば一目瞭然だ。ほとんどパン移動がないし、ドリーショットもない。固定だ。役者も大袈裟に泣き叫んだり、暴れたりしない。淡々と進む。作品も市井の人々の何気ない生活から人間の本質に…

『青春群像』(1953年 イタリア)

いつの時代もこういう若者はいる。毎日暇を持て余し何やることがない日々を過ごす。“やること”とは大人の指す仕事のことだが、仕事をやらずに暮らすことができれば実は一番いい。カッコつけて女を追い回し手軽お金が稼げる盗みなどに走る。でもいつかはやが…

『スケアクロウ』(1973年 アメリカ合衆国)

ジーン・ハックマンとアル・パチーノの今では考えられない共演だ。ハックマンは『フレンチコネクション』で下積みを抜け出し、本作でトップ俳優に躍進した。翌年『カンバセーション…盗聴…』で絶対的な地位を確立し『ミシシッピー・バーニング』『許されざる…

『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(1985年 スウェーデン)

俗に言うハリウッド映画ばかり観ている人にはスウェーデン映画と聞いても何もイメージできないかもしれない。でもスウェーデンには世界的な映画監督がいる。イングマール・ベルイマンと本作のラッセ・ハルストレム監督である。北欧の映画はどことなく光が目…

『エル・マリアッチ』(1993年 アメリカ合衆国 メキシコ)

メキシコへ旅行した時に一度マリアッチを呼んで演奏してもらったことがある。ギター、バイオリン、トランペットなどの楽器から奏でる音はとても素晴らしいものだった。昼間の露店のカフェ前には、演奏が始まるとたくさんの人が集まり聴き入っていた。嘘みた…

『沈黙 〜サイレント〜』(2016年 アメリカ合衆国)

スコセッシ監督が日本の史実をどのように描くのか楽しみだった。過去『ラストサムライ』を筆頭に多くの作品はあまりにも日本の歴史について勉強不足であるのが露呈していた。観ていて腹が立ったほどだ。この映画のトップカットは“音”で始まった。虫の囁きで…

『霧の中のハリネズミ』(1975年 ソビエト連邦)

私はアニメ映画が苦手なのである。というかあまり好きではない。ディズニー映画などは何が面白いかわからない。ジブリ映画も途中で眠くなって最後まで観た試しがない。感情移入ができないのだ。子どもの頃、テレビでアニメをあまり観なかったからかもしれな…

『男と女』(1966年 フランス)

映画が発明されて多くの恋愛映画が作られた。映画のジャンルはアクション、ホラー、コメディー、アニメ、アート、サスペンス、恋愛と多岐にわたる。恋愛映画だけでも純愛、悲劇、不倫、禁断、憎悪と多岐にわたる。で、この映画はそういったジャンルを超えて…

『サンダーボルト』(1974年 アメリカ合衆国)

この映画に出演するクリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディなど三人は本当に存在感が強い役者だ。各々が主役を張れる。この映画での主役はイーストウッドになるが、ブリッジスもケネディーもそれぞれの人生を背負っている姿が見…

『酒とバラの日々』(1962年 アメリカ合衆国)

アルコール依存症は治らないということを如実に表している映画だと言える。本当に治らないのか?色んな文献などで調べるとどうも本当らしい。酒は覚醒剤、マリファナ、LSDといった麻薬よりもタチが悪いらしい。でもそういった禁止薬物と違って合法的に販売さ…

『鍵』(1959年 日本)

市川崑と言う映画監督を知っているだろうか。とても一言で言えないほどの才能を持っていた。アニメ、娯楽、ドキュメンタリー、テレビドラマをその枠を越えて活躍した。映像がきれいだ。市川監督に影響を受けた作家に塚本晋也、岩井俊二監督がいる。特に岩井…

『カンバセーション…盗聴…』(1974年 アメリカ合衆国)

確か『ゴッドファーザー』の中で「信じられるのは家族だけ」という言葉があったと思う。それを痛感する瞬間がある。いくら仲の良い友達でも、懇意にしている同僚でも裏切ることがある。恋人もそうだ。それが人間生活、社会生活だ。でも自分の身内は最後の最…

『ショコラ〜君がいて、僕がいる〜』

20世紀初頭、フランスの実在した白人と黒人コンビの道化師の物語である。ご存知の通りつい50年前まで黒人に人権がなかった国がある。まずアメリカ合衆国。そして20年前では南アフリカ共和国。ようやく人として認められたことが嘆かわしい。白人は黒人…

『暴力脱獄』(1968年 アメリカ合衆国)

ポール・ニューマン演じるルークは映画史に残るタフガイかもしれない。言っておくが私はあまりアメリカ映画は好きではない。大体ハリウッド映画というジャンルはない。ハリウッドという地域で作られている映画の総称である。例えば日本でなら東京の築地で映…

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