『接吻』(2008年 日本)
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この映画を観て小池栄子を好きになった映画ファンは多い。私もそうだ。殺人犯役の豊川悦司の演技も恐ろしい。が、小池栄子の狂気はそれを凌駕する。何かに取り憑かれたら人間とはここまで執着するのだろうか。それは信じた人への愛を貫くために必要なことなのだろうか。裏切りは憎悪を増長させる。沈黙した憎悪が爆発する時の振り幅が半端でない。人間の終わりを感じる。この映画を観た人の多くは無言のまま映画館を後にする。私もそうであった。重い。落ち込む。ハッピーではない。救い用がない気持ちになる。後味は良くない。でも名作だ。日本の映画史に燦然と輝くだろう。ハリウッドの映画ばかり観ている人には理解できないだろう。トリュフォー、ゴダールあるいはハネケを好きな人はこの映画に人間としての尊厳を噛みしめるだろう。映画とはこういうものである。また映画のタイトルが良い。その意味は最後にわかる。小池栄子の最後の叫び声が今も私の脳に木霊している。カンヌ映画祭常連であった仙頭武則プロデュースであるが、残念ながらエントリーされなかった。もしエントリーされていたら大きな賞を獲得し、日本の映画史も変わっていたと想像してしまうのは私だけではないだろう。
ウイキペディアより引用
監督 万田邦敏
脚本 万田珠実
万田邦敏
製作 仙頭武則
出演者 小池栄子
豊川悦司
仲村トオル
音楽 長嶌寛幸
撮影 渡部眞
配給 ファントム・フィルム
公開 日本の旗 2008年3月8日
上映時間 108分
製作国 日本
言語 日本語