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おすすめの映画や自然、猫について綴っていきたいと思います。

『沈黙 〜サイレント〜』(2016年 アメリカ合衆国)

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スコセッシ監督が日本の史実をどのように描くのか楽しみだった。過去『ラストサムライ』を筆頭に多くの作品はあまりにも日本の歴史について勉強不足であるのが露呈していた。観ていて腹が立ったほどだ。この映画のトップカットは“音”で始まった。虫の囁きである。コオロギやヤブキリであろう。一瞬、秋を想像したがすぐにミンミンゼミやヒグラシに変わったのでちょっとガッカリした。それらは夏の虫だからだ。さて、映画は日本に布教に来た恩師が棄教したことを確かめに若き宣教師が日本の地で困難と戦いながら生きる物語である。終始、神との対話を求めている。結果的に日本ではキリスト教は根付かない。自然という信仰があるからだ。キリスト教では三日目に太陽を作ったが、神道では太陽は毎日登っていた。人の心に干渉してはならないという言葉から「あなたたち西洋の価値観を押し付けないでほしい」という意思表示をしている。彼らから口を突いて出るのは、キリスト教がこの世で一番素晴らしい宗教だという言葉だ。他の宗教など彼らは認めていない。そしていざ、自分が試される時に神に助けを求める。でも神は何も語らない。沈黙なのだ。この映画のタイトルだ。つまり答がない。内なる神に聞くしかない。それは自分自身なのだ。本当の神は自分のうちにある声なのだ。その問答には当時の日本人はすでに到達していたのではないだろうか。この映画に出演する窪塚洋介は本当に笑える。“告解”ばかりするから滑稽だ。でもあんな薄情な日本人はあの時代にはいないだろう。何と言っても義理人情を大事にする時代だからだ。だとしたら、懺悔すれば人殺しでも赦されるキリスト教に故意的に染まっているからだろう。うまく利用したものだ。それにもまして良い味を出しているのは浅野忠信でもない、イッセー尾形だ。彼の演技はユーモアの先に恐怖がある。背筋が凍った気がした。あとクレジットロールには日本の自然の音がかかるが、めちゃくちゃな気がした。外国人は日本の音をあのような印象でとらえているのだろうか。季節感がひどい。コオロギ、ヒグラシ、アオマツムシ、クサキリ、トノサマガエル、豪雨、雷雨、波の音、風の音、雨とオンパレード。ちょっと残念。そういえば音楽は劇中ほとんど主張しなかったかもしれない。それはそれで良い。

ウイキペディアより引用
Silence

監督        マーティン・スコセッシ
脚本        ジェイ・コックス
    マーティン・スコセッシ
原作        遠藤周作『沈黙』
製作        ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ
バーバラ・デ・フィーナ
ランドール・エメット
エマ・ティリンジャー・コスコフ
アーウィン・ウィンクラー
マーティン・スコセッシ
出演者    アンドリュー・ガーフィールド
リーアム・ニーソン
アダム・ドライヴァー
窪塚洋介
浅野忠信
イッセー尾形
塚本晋也
小松菜奈
加瀬亮
笈田ヨシ
音楽        キム・アレン・クルーゲ
    キャスリン・クルーゲ
撮影        ロドリゴ・プリエト
編集        セルマ・スクーンメイカー
製作会社                IMグローバル
配給        アメリカ合衆国の旗 パラマウント映画
日本の旗 KADOKAWA
公開        アメリカ合衆国  2016年12月23日
    日本       2017年1月21日
上映時間                159分[1]
製作国    アメリカ合衆国
言語        英語
日本語
製作費    $51,000,000

 

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