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『山椒大夫』(1954年 日本)

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溝口健二という映画監督を知っているだろうか?黒澤は知っているだろう。小津も微妙だ。日本の映画監督で誰を知っているかと聞くと宮崎駿、北野武と答える人が多い。しかし、しかしだ。ずっと邦画の系譜をたどるともっともっと偉大な監督がいるのだ。黒澤は素晴らしい。でも小津の方が海外では評価が年々うなぎ上り。そして溝口だ。女性を描かせたら天下一と言われる名匠だ。『雨月物語』が有名だがこの『山椒大夫』の方が思想的にも哲学的にも芸術的にも心を打つ作品ではないかと思う。とにもかくにも辛い、せつない、厳しい。しかしその運命を打破し再び再生していく気持ちがある。絶望、裏切り、人情、慈悲、許容と人間のあらゆる感情が見て取れる。実際、私だったら私を苦しめた相手を懲らしめてしまうかもしれない。しかしそれをやってしまうと人間としてどうか、、、。これは日本人特有の人情の世界に通じる。どんなに憎い人に対して憎しみ返しをしても意味がないのだ。憎しみが倍加して最大公倍数として還って来る。私にも許せない人がいる。難しいのだ。でも決して行動には移さない。移した瞬間から悲劇が始まることだけは肝に銘じておきたい。そのためにこの映画を観る。

 

監督        溝口健二
脚本        八尋不二
依田義賢
製作        永田雅一
出演者    田中絹代
花柳喜章
香川京子
進藤英太郎
河野秋武
浪花千栄子
音楽        早坂文雄
撮影        宮川一夫
編集        宮田味津三
配給        大映
公開        日本  1954年3月31日
上映時間                124分
製作国    日本の旗 日本
言語        日本語

 

 

山椒太夫 [VHS]

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