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コウヤボウキ

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コウヤボウキは関東以西の本州、四国、九州の明るい山地でよく見かける。大きさは約1.5センチ程で、色は淡い紅色。花弁が何本も飛び出している。真っ直ぐに出ているのもあるし、リボン状に丸くなっている花弁もある。あまりにもたくさんあるので数えてみると大体、13本前後であった。このコウヤボウキの名前は、世界遺産に認定された紀伊半島の高野山に由来するという。高野山と言えば空海(のちの弘法大師)が真言宗を開祖した場所でもある。今ではパワースポットとして多くの人々が訪れる。空海は修行に不必要な物を一切排除した。人間の心を惑わしそうなものすべてを本山の敷地内に植えることを禁じた。その中に、梨、胡椒、桃、竹などがあった。空海が排除した理由は果実は商品として売買でき利益を得ることでお金に対する人間の欲が現れ修行に差し支えると考えたらしい。では竹はどうか?竹はタケノコとして食用されるし、また篭などの工芸品を作り転売できるためこれも植えるのを禁止した。何とも厳しいことか。しかし困ったことに敷地内を掃除するためには竹ぼうきが必要になる。そこで空海が考えたのはこの花の枝を束ね“箒”を作ったのだ。万葉集には“初春(はつはる)の初子(はつね)の今日の玉箒(たまばわき) 手に執(と)るからに揺(ゆ)らく玉の緒(お)”と詠われている。この歌の玉箒が花後の綿毛に当たる。綿毛の束が果たして竹ぼうきより掃除に適しているかは定かではない。私のようなひねくれ者はより便利な道具に走りがちだ。秋風に揺れるコウヤボウキを見ながらそんなことを考えると純粋無垢にお勤めに励んでいた昔の修行僧に尊敬の念を感じずにはいられない。

 

 コウヤボウキ(高野箒)

分布 関東以西の本州、四国、九州。
生息地 平地、明るく乾いた山野。
花期 9〜10月
高さ 60〜100センチ

この花が終わり迎える10月の下旬は昆虫たちはまだ忙しく飛び回っている。とりわけミツバチ、スズメガ。この昆虫は蜜を集めるのに必死だ。このコウヤボウキはまるでこの昆虫たちにたくさんの蜜をあげようとギリギリまで落花しないように感じる。まるで弘法大師さまの気持ちが宿っているかのように見えた。

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