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アジメドジョウ

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最高の美食は故郷にありき─。幼少の頃、食べた料理が一番おいしいという意味である。私は山間部で育ったため山菜や川魚料理がとりわけ好きだ。特にこのアジメドジョウの佃煮は絶品である。柔らかく歯ごたえがあり、川魚なのに臭みが無く甘い。子供の頃は祖父と一緒にアジメドジョウを採りに清流へ行った。捕獲の仕方は登り筌(のぼりえ)という漁法を用いる。下流に向かって竹で編んだ紡錘形の籠を仕掛けるだけだ。餌など置かない。ただアジメドジョウが溯上しやすいように石で道を作ってやる必要がある。翌日、籠を上げると面白いほど入っている。金色に輝く魚群を見ながら祖父と一緒にその夜の食卓を想像したものだ。さて、アジメドジョウは中部と近畿地方の河川の中流、上流部にしか生息していない。吸盤のような口で川底の付着藻類を食べる。ひげが6本あり、茶色っぽい身体にまばらに黒い模様があるのが特徴だ。体長は7〜10センチくらい。アジメドジョウの名前の由来を調べるのには難儀した。一説によると飛騨地方の方言で‘味ない’(おいしくない)という意味から来たという情報を得たが空振りに終わった。そこで先達の人の意見を聞くことにした。知り合いのまた知り合いのお祖父さんから納得できる答えをもらった。アジメを漢字で書くと『味女』。つまり ‘味が良い’と‘女性のように美しい魚’を合わせて付けたらしい。ドジョウは漢字で泥鰌と書くが、本来は土長(ドチャウ)と呼んでいた。泥水の中の長細い魚という意味である。しかし東京の浅草にある料理店が‘どぜう’とメニューに乗せてからドジョウと呼ぶようになったらしい。河川の護岸工事や水質汚染の影響で今やアジメドジョウは絶滅の一途を辿りつつある。何とか絶滅だけは阻止したいものである。

 

アジメドジョウ(味女泥鰌)日本固有種である。

分布 岐阜県、愛知県、三重県などの中部地方。
生息地 きれいな河川。
体長 10センチ
美味なため乱獲されたが、乱開発や自然破壊のため減少している。
環境省レッドリスト・絶滅危惧種Ⅱ類(VU)

 

 

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