『ショコラ〜君がいて、僕がいる〜』
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20世紀初頭、フランスの実在した白人と黒人コンビの道化師の物語である。ご存知の通りつい50年前まで黒人に人権がなかった国がある。まずアメリカ合衆国。そして20年前では南アフリカ共和国。ようやく人として認められたことが嘆かわしい。白人は黒人も含め有色人種を差別してきた。私自身も白人から差別を受けた経験がある。詳細は省くが彼らは、表面上はやさしく振舞うが真の心は非常に冷たい人が多いというのを実感している。同感する人も多だろう。さて、この映画はアフリカから奴隷としてヨーロッパへ売られた青年が苦闘、葛藤しながら成功への道を目指す物語、と言ったら聞こえは良いが、その逆で失敗して行く物語と言っていい。いつも白人の相棒にケツを蹴られ嘲笑されながら大金を掴むが、慢心からだろうかギャンブル、酒、女、借金と自ら身を落として行く。その姿がもの悲しい。黒人としてのコンプレックスを消し去るように荒れて行く。いや逃避している。それが勿体無い。もちろん当時は黒人解放の運動家は皆無だったかもしれないし、情報もなかったかもしれない。キング牧師もマンデラもいない。でも、でもだ、何とか黒人の人権獲得のために道化師として俳優として職業を利用して戦って欲しかったのだ。あれほど才能であんなに頑張ったのに、あんな人生の終焉を迎えるなんて本当に報われない。