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映画の読み方書き方『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988年 イタリア フランス)

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 この映画を観たのは確か1989年から90年の冬だったと思う。今ではこの映画は自分のベストムービーは?と言う問いに対して、必ず上位にランクインする。

 私は当時、24歳の若者であり未来への夢と現実の狭間に揺れていた心情光景の中、この映画を観た。

 おそらく私の人生に於いて初めて映画観で泣いた映画と言っても過言はない。とにかく涙が止まらなかった。

 大学を卒業して社会人になったのは良いが一年足らずで退社し、しかも東京の彼女からサヨナラを告げられていたから尚更だったかもしれない。

 この映画は海外公開用とディレクターズカットの完全版があるが、私が最初に観たのは前者だ。前者はどちらかと言うとトトとアルフレッドとの友情をテーマに、後者はトトと恋人エレナとの恋愛感に重きを於いている作品と筆者は解釈している。

 よって彼女に振られたばかりの傷心の私を慰めてくれる友人の気持ちを鑑みて涙したことになる。

 時代はこれから“バブル経済”へ真っしぐら。

 世の中は一種の拝金主義的な雰囲気が醸し出されていた。友達の一人は証券会社に就職しており、お金も無い私に株式、先物投資を勧めて来る程日本全体に勢いがあった。しかし私はそんな事には全く興味はなく、海外放浪の旅に出るためのアルバイトに精を出していた。

 映画は週に一度の安らぎのひと時を与えてくれる宝物と受け止めていた。そんな時勢もあり私がこの映画を観た時「友情とは最高の情熱であり、捨てるにしても最後に捨てるべき情熱である」と言うボナールの言葉を思い出した。

 心に強く、人生で最も大切にしなけれ成らない事は“友人”である、と学んだ。年齢差はともかく男同士の友情とは永遠に続くものだと思った。

 私はこの映画を観た数ヶ月後、単身ニューヨークへ旅立つことになる。誰も見送りには来ない。

 奇遇だが初めて載った飛行機の映画のラインナップにこの映画があった。そしてニューヨークでアパート暮らしをした時、日本からの差出人不明の手紙の中に私がお金に困っているのを案じたのか毎月一万円送られて来た。それが当時は誰なのか今ではわからないが、今では予想がつく。でも言わない。

 かけがえのない友人だと思っているからだ。この映画は良く若き日の恋愛に引きずられた女々ししい男の物語ととられがちだが、私はどちらかと言うと世代も時代も関係なく人間とは友情を大切に生きて行かなければならない、と享受してくれた映画である。実際、今も映像作家として生きる私を気にかけてくれる友人がいる。そして一番の友人は兄を含め家族かもしれないと今更ながらに気づいた愚か者である。

 

ウイキペディアより引用

Nuovo Cinema Paradiso
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
製作 フランコ・クリスタルディ
製作総指揮 ミーノ・バルベラ
出演者 フィリップ・ノワレ
ジャック・ペラン
サルヴァトーレ・カシオ
マルコ・レオナルディ
アニェーゼ・ナーノ
音楽 エンニオ・モリコーネ
アンドレア・モリコーネ
撮影 ブラスコ・ジュラート
編集 マリオ・モッラ
配給 日本ヘラルド
公開 イタリア 1988年11月17日 
     フランス 1989年5月19日(CIFF)
     日本   1989年12月16日
上映時間 155分
124分(国際版)
170分(ディレクターズカット版)
製作国 イタリア フランス
言語 イタリア語
興行収入 $11,990,401

ニュー・シネマ・パラダイス - Wikipedia

 

 

 

 

ニュー・シネマ・パラダイス(字幕版)

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