『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』(スペイン 2014年)
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久しぶりのスペイン映画だ。私にとってスペインは真に憧れの国だ。明るい太陽、肥沃な大地、そして何より情熱的な国民性にひかれる。ヨーロッパにおけるスペインは田舎っぺの国だと笑われている。経済的にも恵まれていない。よく国が持っているものだ。借金も多い。でも国民は悲観している節がまるでないそうだ。“なんとかなる”という気質で生きている。またその日が良ければ万事よしという考え自体が人生を表しているのではないだろうか。日本もように何もかもきちっとしてないから楽なのだろう。誰かのミスや過ちを責めたりもしない。ちょっと遅刻したくらいで怒ったりしない。本当に陽気な国民だ。この映画も然り。本当はフラメンコの深い深い成り立ちや人生における必要性を説いているのだが、この際、頭を真っ白にして楽しんで観てもらいたい。冒頭から終盤までとにかくフラメンコが流れている。ギターの旋律に心が踊り、更にメランコリックになったりする。これほど叙情豊かな音楽はあるのだろうかと頷いてしまう。フラメンコは正にあの大地の魂であり、来世への願いなのではないかと思う。素晴らしい。