未来予報

おすすめの映画や自然、猫について綴っていきたいと思います。

映画一日一観

『瞳の奥の秘密』(2009年 アルゼンチン)

この映画は邦画タイトルが工夫されていたらもっとヒットした気がする。劇場で観た時の衝撃を忘れられない。立ち上がれなかった。ハネケ作品を思い出した。同時にラテンアメリカ文学並びにラテンアメリカ映画の奥の深さと彼らの根底になる深い闇を見た気がし…

『ALI アリ』(2001年 アメリカ合衆国)

躓きとか挫折という言葉を安易に吐く人がいるが、私も含めて人種差別を受けた人たちのそれに比べると大したないと思う。モハメド・アリは黒人ボクサーとして偉大な功績を残した。いやボクサーとしてだけではなく人間としてこの地球に大きな偉業を成し遂げた…

『悪い奴ほどよく眠る』(1960年 日本 )

信じていた人に裏切られる。男にあるいは女にと人によって違うが、とりわけ仕事を一緒にしていた同性に裏切られると人間不信に陥ってしまう。社会では良くある話だが“囁き”を得意としている人がいる。囁かれた方は“焚き付けられ”常軌を逸した行動を起こして…

『スノーデン』(2016年 アメリカ合衆国 )

社会派の映画監督オリバー・ストーンの新作だ。彼の功績はいずれ紹介する。この映画はアメリカを裏切った男、そして今ではロシアの英雄になっている青年の物語だ。映画の予告で散々流された通り我々のすべてのメール、電話、SNS情報はアメリカのNASに監視さ…

『未来を花束にして』(2015年 イギリス)

この映画は現在全国で封切られている。メリル・ストリープが出演するから観たいという人がいるだろうが、それは期待しない方がいい。彼女はトータル尺5分も出ていない。ちょいっと顔を出し刑務所へ連行されて物語の進行にはほとんどタッチしていない。彼女…

『シャイニング』(1980年 イギリス アメリカ合衆国)

雪降る季節になるとどうしてもキューブリックのこの作品を思い出す。この作品はホラーのジャンルになる。ホラー作品と言えば日本では夏とイメージする人も多いだろう。しかし世界的にはあまり季節を問わないようだ。ただ最近のホラーはアクションも兼ねた大…

『鳥の歌』(1995年 ボリビア)

インディアンは主にアメリカ先住民を指す言葉だが、本来はインド人を指す言葉だったのはみなさんも知っているだろう。大航海時代、西欧列強は世界の派遣を獲得すべく植民地を増やすことに没頭した。その一番の犠牲者はインディアンであると言える。南北アメ…

『華氏451』(1966年 イギリス

文化、芸術を破壊する行為はその人種や民族を破滅する行為である。その際たる例は戦争だ。偶像崇拝を禁止するイスラム教の過激な一軍が凶悪なISを作り出し彼らはシリアで数々の遺跡を破壊した。でもこういった破壊行為は昔からあったのだ。特に木造建築が主…

『隠された記憶』(2005年 フランス)

初めて観たハネケの作品は『ピアニスト』だった。強烈な印象を残した。観た直後は女性の性をテーマにした物語だと感じたが、それは浅はかだったと後から気がついた。厳しい環境で育った人間のすべてではないが、物事に対して変質的な思考が交差することがあ…

『山椒大夫』(1954年 日本)

溝口健二という映画監督を知っているだろうか?黒澤は知っているだろう。小津も微妙だ。日本の映画監督で誰を知っているかと聞くと宮崎駿、北野武と答える人が多い。しかし、しかしだ。ずっと邦画の系譜をたどるともっともっと偉大な監督がいるのだ。黒澤は…

『独立少年合唱団』(2000年 日本)

せつないとか、やるせないとかそんな表現では語れない。この映画を観ている時の私に心は誰かの両手でねじられているような状態だった。とにもかくにも息が出来なかったのだ。もっと言うなら真冬の日本海の荒波が打ち寄せる浜を強風に煽られただ佇んでいるだ…

『おいしい生活』(2000年 アメリカ合州国)

ウディ・アレンの映画を一度好きになったらもう止められない。毎年、一作品を必ず発表しているからファンは今か今かと楽しみにしている。以前は監督、脚本、主演を務めていたが、最近は主演することがなくなって少し寂しい。アレンは知的で教養に溢れている…

『マジカル・ガール』(2014年 スペイン)

スペイン映画の奥深さを改めて知った作品だ。ブニュエル、エリセ、アメナーバル、アルモドバルとスペイン映画の鬼才たちは本当に素晴らしい作品を世に送り出している。このカルロス・ベルムト監督の登場には驚愕した。すごい才能だ。何て芸術だ。私が昨年、…

『父 パードレ・パドローネ』(1977年 イタリア)

イタリアという国をイメージすると底抜けに明るい人たちを思い浮かべる方もいるだろう。しかし実際にイタリア人と話してみると結構デリケートでどこかしらコンプレックスを持っている人が多いことに驚く。それはやはり南北の格差もあるが、やはり敗戦国とい…

『インビクタス/負けざる者たち』(2009年 アメリカ合州国)

遂にトランプ大統領が誕生した。中継を見ていて波乱の船出だと感じたが、アメリカらしいなとも思った。あれだけの人種の坩堝である。不平不満が噴出するのも当たり前だ。このトランプ就任にあたってデモや店舗等を襲撃している様子が実は私のいうアメリカら…

『JFK』(1991年 アメリカ合衆国)

今現在、日本時間1月20日(土曜日)2017年である。間もなく第45代アメリカ合衆国トランプが就任する(何もなく終わることを祈る、またトランプが四年間の大統領職を全うするこを願う)賛否両論で世界中に波紋を投げかけているトランプだ。しかし私…

『アイ・イン・ザ・スカイ』(2016年 アメリカ合州国)

戦争そのものに正義などない。きれいな戦争などない。この映画は現在、封切りされているから劇場へ足を運んだ方もいるだろう。どのように捉えたかは個人に任せるが、私はこの映画は英米の言い訳自慢にしか観えなかった。人を殺す言い訳を絶えず探してその責…

『レイジング・ブル』(1980年 アメリカ合州国)

まもなくマーティン・スコセッシ監督の新作『沈黙』が公開される。スコセッシが発表した映画の中で私は『レイジング・ブル』が一番好きだ。元々ボクシングが好きでボクサーから発せられるエネルギーがたまらない。そのエネルギーは時として成功という肯定的…

『オープン・ユア・アイズ』(1997年 スペイン)

この映画はまったく予備知識もないまま観た。恥ずかしながら私は公開された時アレハンドロ・アメナバル監督のことを知らなかった。この映画を観て驚愕し、以後注目するようになった。私が映画を観る時は大抵、最前列の真ん中に陣取る。理由は私の視界にスク…

『善き人のためのソナタ』(2006年 ドイツ)

トランプ次期大統領の会見で彼はロシアに不名誉な情報を握られているとあった。不名誉とはつまり性的な内容をさしているらしい。それを聞いて旧共産圏の国では良くあることだと思い、この映画を思い出した。これは旧東ドイツのシュタージという国の機関が行…

『恋する惑星』(1994年 香港)

切なすぎる、胸が締め付けられキシキシ音を立てて小さくなっていく気がした。この映画を観たのは三十を迎える頃だった。いくつかの夢を持っていた。現実の厳しさに打ちのめされた。恋も恵まれなかった。若く純粋だった心に世の中の謎が解けてため息がこぼれ…

『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』(2009年 アメリカ合衆国)

かつてボン・ジョヴィ、ホワイトスネイク、スコーピオンズ、マイケル・シェンカー・グループなどと肩を並べたで伝説的なヘビメタルバンド。ガンズ・アンド・ローゼスやメタリカにも影響を与えた。しかし今や陽の目を見ることはない。メンバーは二人しかいな…

『白熱』(1949年 アメリカ合衆国)

この映画は本当に恐ろしい。主演のジェームス・キャグニーの賜物だ。素晴らしい演技をしている。あの不気味な微笑みが恐怖を更に加速させる。冷酷非道な強盗殺人者でマザコンである。信じるのは生みの親である母親のみ。母の言うことなら耳を傾ける。妻も友…

『僕を葬る』(2005年 フランス)

もし余命3ヶ月と宣告されたら人はどう生きるだろうか。死の到来を受容する瞬間はどんな心境になるのだろうか。私は幼い頃から死について考えることが多かった。私の育った家の近くに病院があり、私たちの遊び場の一つだった。悪ふざけして院内でかくれんぼ…

『天国の日々』(1978年 アメリカ合衆国)

とにかく美しい映画だ。始まりから終わりまで柔らかい光を浴びていたい。例え結末が残酷でも浴びていたい。展開する物語を追いかけるのを忘れてしまうくらい気持ちいい。映画を撮ったのはテレンス・マリックである。マリックは人工的な光を好まない。映画の…

『接吻』(2008年 日本)

この映画を観て小池栄子を好きになった映画ファンは多い。私もそうだ。殺人犯役の豊川悦司の演技も恐ろしい。が、小池栄子の狂気はそれを凌駕する。何かに取り憑かれたら人間とはここまで執着するのだろうか。それは信じた人への愛を貫くために必要なことな…

『運動靴と赤い金魚』(1999年 イラン)

この映画を観てイラン映画にハマった人も多いだろう。それを先陣したのはマフセン・マフマルバフでありアッバス・キアロスタミであることを忘れてはいけない。この映画を一言で言うとイスラム社会に生きる兄妹の美しい愛の物語と言える。ご存知の通りイスラ…

『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973年 フランス)

最初に低次元なことを書いてしまう。申し訳ない。実はこの映画を観て映画の撮影における謎解きができたのだ。映画の原題は『La Nuit américaine』英語では『Day for Night』となる。撮影技術やフィルムの感度が今ほど優れていない時代では明るい昼間に撮影し…

『若者のすべて』(1960年 イタリア、フランス)

イタリア映画界の巨匠ルキノ・ヴィスコンティー監督が描いた青春群像であり家族崩壊の物語である。都会に暮らす長男を頼って母親と残された四兄弟がミラノへ移住する。成功を夢見て、働き、学び、恋愛して懸命に生きて行く物語…。うまく進めば良いがそうはな…

『俺たちに明日はない』(1967年 アメリカ合州国)

世界恐慌時代のアメリカで起きた銀行強盗事件を映画化した作品。ボニー&クライドとして今でもアメリカではある種ヒーロー扱いされている。物語は出所したばかりのクライド(ウオーレン・ベイティー)が田舎で暇を持て余しているクライド(フェイ・ダナウエイ…

AD