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ホトトギス

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天下の三大武将、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が詠んだ有名な歌に登場するのは鳥のホトトギスである。不思議なことに植物でも同様の名前が付いているのがホトトギスの花だ。動物と植物の名前が同じということは、学術的分類の観点から見ても珍しいという。花の方を漢字で書くと杜鵑草、鳥は杜鵑。名前の由来を調べてみると中国の三国時代の劉備、曹操、孫権などが活躍していた時代より更に前の古蜀国という国まで遡った。望帝であった杜宇が亡くなった時、帝の魂がホトトギスという鳥、つまり杜の鳥(鵑)になったので杜鵑という名前が付いた。それからどれだけ時代が流れたかは定かではないが、花のホトトギスは鳥のホトトギスの胸毛の斑点か尾羽の白斑が花にある紫色の小さな模様に似ていることから本種の名前が付いたと言われている。ホトトギスの花は本州、四国、九州の野山のやや湿った林の中で見ることができる。真っ直ぐに空に向かって咲いている。茎はわりと太いが何本もの花を咲かせているのでちょっと重たげな雰囲気だ。実際、重さに耐えきれず横に倒れながら咲いている姿も良く見る。背丈は大人の腰くらい。花の大きさは3センチ程。外側に6枚の花弁と内側に6本の雄しべ、更に内側に雌しべである花柱がある。ミツバチは入り組んだ花の中へ潜り込み蜜を集めるのだが、ホトトギスの仕組んだ見事な罠にはまる。深く潜り込んで雌しべに触り、出て行く時に今度は雄しべに触る。巧妙な受粉行動だ。ユリの仲間であるが、白い花びらに紫色の斑点模様からかつて私がマレーシアのジャングルを散策した時に見つけたランの花を思い出した。

 

ホトトギス属(杜鵑草)
分布 本州、四国、九州。
生息地 平地から野山、湿っぽい林。
花期 9〜10月
高さ 40〜90センチ
かつては山野で咲いているのを見つけるのが楽しみであったが、今や園芸種として広く販売されている。昨今のガーデニングブームの影響でその栽培の手軽さからか、一気に広がった。花が繁栄することは種にとっては良いことかもしれないが、どこでもかしこでも目に入ってくるとそのうちあまり気にしなくなる自分がいることも忘れてはいけない。

 

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